【開催終了】第46回 有機エレクトロニクス研究センター講演会について(10月25日)

10月25日、午後3時より第46回有機エレクトロニクス研究センター講演会を開催しました。

今回は、東京工業大学 グローバルエッジ研究院 テニュア・トラック助教 村上陽一先生を講師としてお招きし、「有機分子の三重項-三重項消滅を用いた相安定な光アップコンバーターの開発」という題で講演をしていただきました。
40名を超える研究者や学生が出席し、黙々とメモをとる学生の姿が見られ、Q&Aセッションでは多くの質問が出され、盛況のうちに終了しました。


当日の会場の様子

東京工業大学 グローバルエッジ研究院 
テニュア・トラック助教 村上 陽一先生

【開催終了】第46回 有機エレクトロニクス研究センター講演会について(10月25日)

日時

10月25日(木) 午後3時~午後4時

会場

有機エレクトロニクス研究センター(10号館) 4階 会議室

講師

東京工業大学 グローバルエッジ研究院 テニュア・トラック助教 村上 陽一先生

演題

「有機分子の三重項-三重項消滅を用いた相安定な光アップコンバーターの開発」

本講演は,動作に(バイアス電圧印加などの)外部エネルギー投入を要せず太陽光等の非コヒーレント光に適用可能な有機光アップコンバーターに関する.光アップコンバージョン(UC)とは二個の低エネルギー光子(長波長の光)を一個のより高いエネルギーの光子(より短波長の光)に変換する操作である.もしこれが低強度の連続光について有意な効率で行うことが出来れば人類の光利用の幅を大きく広げることができる.例えば,太陽電池や人工光合成ではこれまで捨てられていた太陽光の長波長部分が利用可能になるであろうし,窓材や発光デバイスでは従来出来なかったような調光操作が可能になるであろう.
有機分子間の三重項-三重項消滅による光UCは,現象としては古くから知られていたが,効率が1%を超え応用を念頭においた研究分野が立ち上がったのは最近(2006年頃)のことであり,ここ数年は海外において急速に関連報告数が増えてきている.この方法は有機分子,特に多環芳香族分子を利用することから,従来報告で有意義なものは全てトルエンやベンゼン等の有機溶媒を用いたものであったが,その揮発性・可燃性・蒸気毒性・樹脂に対する浸食性などが,本方式の応用を考える上での問題点であった.
本研究では独自の着想と発明に基づき,蒸気圧が実質ゼロで非常に高い熱安定性を有するイオン液体(常温溶融塩)を媒体とする事に世界で初めて成功し,上記の諸問題を解決した.これにより不揮発・難燃・長期安定(2年以上を確認)・太陽光に適用可能という特長を具えた光アップコンバーターを世界に先駆けて実現しており,光UC技術の実用化に向けて歩を進めている.講演ではその詳細が示される.

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