日時 | 2015年6月2日(火) 16時00分~17時30分 |
会場 | 10号館4F 会議室 |
講師 | 三林浩二 氏 (東京医科歯科大学生体材料工学研究所 教授) |
演題 | 日常ケアのためのバイオセンシングデバイス |
概 要: 世界の先進国では高齢化が進み、65歳 以上の人口が総人口に占める割合を示す「高齢化率」はいずれの国もすでに10%(2005年時点)を超えている。その中でも日本は2010年には23%を 超え、2050年には35%に達し、少子化の影響もあり75歳以上の人口割合は2050年には20%を超えることが予測されている。世界が直面したことのない超高齢化社会を、日本が先んじて向かえることになる。そして如何に健康的な社会を構築していくか、それはまた世界が直面する高齢化社会を日本が自らの 体験を持ってリードする機会でもある。日本でユビキタス社会の構築がうたわれてから10年近くが経過しつつあるが、医療や健康科学の領域における 学術研究が活性化し、生体情報をリアルタイムで常に計測するデバイスや技術が求められている。特に生体の化学/生化学情報を如何に捉え、情報化を行なうか が大きな課題である。化学/生化学情報を測定する時に、採血などを行なわず、身体を傷つけない非侵襲的な計測が求められるが、今後の健康社会を構築するに は「無意識バイオ計測」が不可欠である。つまり採血や侵襲どころから、計測していることを被験者がまったく意識しない、そのような無意識センシングが今後 の生体計測(特に化学、生化学)には必要である。無意識バイオ計測を実現にするには、身体に装着していることを感じさせないような生体親和性や融 和性に優れたデバイスやシステムの開発、また非接触にて生体情報をモニタリング(イメージング)する技術が必要である。そして、これらデバイス開発や計測 技術には既存のMEMS素子やバイオセンサを高度化し、機能性材料や生体材料を利用した高機能なナノバイオデバイスとして構築することが不可欠である。本 研究会では、バイオセンシング技術を使った生体化学計測デバイスとして、生体適合性材料とMEMS技術を組み合わせたソフトコンタクトレンズ型グルコース センサ、肝臓などの薬物代謝酵素を利用した高感度な生化学式ガスセンサ(バイオスニファ)、その計測技術を応用した生体ガス(揮発性バイオマーカー)のバイオイメージングについて述べると共に、化学エネルギーをもとに駆動する「センシング・アクチュエータ(有機エンジン)」とその人工臓器応用についても紹介する。
お問い合わせ先: 時任・熊木・福田研究室