日時 | 平成27年10月2日(金)15時00分~16時00分 |
会場 | 国際事業化センター 教育研修室 旧CRC棟 2F |
講師 | 群馬大学大学院理工学府 分子科学部門 准教授 山路 稔 氏 |
演題 | 光で創る有機超伝導体・半導体・発光体 |
講演概要: 講演者は物理化学(光化学・放射線化学)の研究者であり、励起有機分子、特に三重項状態の反応機構をレーザー閃光分解法により研究してきた。しかし偶然にも、有機溶媒中、三重項カルボニル化合物を用いてジナフチエタンの光増感を行うと、5つ のベンゼン環がジグザグに縮環したピセンが得られることを見出した(光増感縮環法の発見)。この方法は有機合成化学的に作成が難しい、ベンゼン環がジグザ グに縮環した分子(フェナセン)作成に利用可能であり、フェナセンの高効率・大量作成を可能とした。ピセンを薄膜化して作成した電界効果トランジスタ(FET)は、従来の有機物で作成したFETよりも高い電荷移動度を示した。半導体としてのピセンは、酸素、高電圧等の外部要因に耐性を示すことが特徴である。アルカリ金属をドープしたピセンは、20Kで有機物超伝導体となることを世界で初めて見出した。最近は、フェナセン部位を有することで、低発光性有機分子がケイ光性を誘起される性質も明らかにしている。当日は、講演者のセレンディピティとフェナセン関連の発光体に関する最近の研究成果について講じる予定である。
連絡先: 城戸研究室(内線:3052)