時任・熊木・福田研究室の竹田泰典さんが、ICFPE2012 Student Poster Awardを受賞しました

9月6日から8日にかけて東京大学で行われた「2012 ICFPE (The 2012 International Conference on Flexible and Printable Electronics」において、当有機エレクトロニクス研究センター時任・熊木・福田研究室の竹田泰典さんが、ICFPE2012 Student Poster Awardを受賞しました。

ICFPE2012 Student Poster Awardは、Poster Sessionにおいて、最も優秀なプレゼンテーションをした学生方に贈られる賞で、今年度は海外からの参加者も含め16名が選ばれました。
おめでとうございます!


アブストラクト:
有機薄膜トランジスタ(TFT)はフレキシブル基板上作製可能であり、印刷プロセスを適用させることで大面積に作製可能であるという特徴を有しており、近年注目を集めている。高スループットかつ高解像度のパターニング手法を実現させることがプリンテッドエレクトロニクスでは必要不可欠となる。本研究において、我々は銀ナノ粒子インクを用いて、下地層の親液性と撥液性を制御することにより電極を簡便にパターニングする手法を開発した。
 有機TFT作製手順は以下のとおりである。テフロン® (DupontTM, Teflon®AF1600)をガラス基板上にスピンコートし、100℃1時間の条件で加熱することで下地層を形成した。この下地層にメタルマスクを用いて酸素プラズマ処理(10 W, 12秒間)することにより、ゲート電極のパターン状に選択的に表面改質を行った。高沸点溶媒中に分散させた室温焼結型銀ナノ粒子インク[1]を選択的にプラズマ処理された下地層の上にスピンコートすることで、ゲート電極を形成した。その後100℃1時間の条件で、大気中焼成を行った。テフロン®をスピンコートし、100℃1時間加熱させ厚さ280 nmのゲート絶縁膜を形成した。下地層と同様にプラズマ処理を行った後、低沸点溶媒中に分散させた銀ナノ粒子をスピンコートし、100℃1時間加熱することでソース・ドレイン電極を形成した。最後に有機高分子半導体層として、PB16TTT (poly(2,5-bis(3-hexadecylthiophene-2-yl)thieno[3,2-b]thiophene))をドロップキャスト法により堆積させ、100℃30分間窒素中で熱処理を行った。(Fig. 1)。
水の接触角はプラズマ処理によって122°から110°へと、わずかに減少した。一方で、表面のラフネスに変化は現れなかった。このことはプラズマ処理がテフロンの高撥水性の起源となっているC-F結合に何らかの作用を及ぼしているものと考えられる[2],[3]。また、ゲート電極に高沸点溶媒の銀ナノ粒子を用いることで、電極の平坦化に成功した (Fig. 2)。本手法を用いて作製したTFTは移動度0.14 cm2/Vs、オンオフ比105以上という良好な特性を示した。本結果により、全て塗布法を用い、100℃以下の作製プロセスで良好に駆動する有機トランジスタを実現した。
[1] M. Itoh, et al., J. Nanosci. Nanotechnol. 9 (2009) 6655-6660.
[2] X. P. Zou et al., Plasm Polym., Vol.5, No.3-4 (2001).
[3] Danbi Choi et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, 2012, 4(1), pp 117–122
Fig.

ICFPE2012 Student Poster Awardを受賞した、竹田泰典さん

左から:福田憲二郎助教、竹田泰典さん、時任静士教授

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